第66回 朽木のトチノキ巨木林に関する調査〔7月編〕#5

 趣旨

 自然地理研究会10周年にあたる節目の今年度は、滋賀県高島市朽木をフィールドに継続的な調査活動を実施しています。近年,地域のシンボル的な樹木としてトチノキの価値が見直され、それを活かす動きが現れています。一方で、トチノキの巨木が存在する地域では、トチノキと住民との深い関わりが歴史的に持続してきた側面も示唆されます。

 今年度の調査活動では、トチノキ巨木林を有する朽木を対象としてトチノキの生態的、文化的な価値に焦点をあて、人とトチノキの関係性を動かす諸事象を探っていきます。

  [本調査活動の一部は財団法人国際花と緑の博覧会記念協会の助成を受けています]

 今回はトチノキの生育する谷筋で植生調査、毎木調査を実施しました。地元の方の協力の下、谷筋でのトチノキの分布状況や群落の構成を調べました。

 また、地元でトチノキの保全活動をしている方々との交流や朽木でのトチ利用に関する聞き取り調査も行いました。

 座学・ミーティングの概要

日時

2011年7月14日(木)

場所
京都大学稲盛財団記念館
参加者
12名 (学部生5 [文1;医1;工1;立命館大学-文1;大阪大学-外1]、 院生6 [文1;農1;人環1;AA研2;地環1]、 教員1 [AA研1])
内容

  • 調査活動の趣旨や本調査実習の説明(飯田)
  • 朽木の概要(田中)

 野外実習の概要

日時

2011年7月16日(土)-18日(月)

場所
滋賀県高島市朽木
参加者
11名 (学部生5 [文1;医1;工1;立命館大学-文1;大阪大学-外1]、 院生5 [文1;農1;AA研2;地環1]、 教員1 [AA研1])
行程
7月16日(土)

稲盛財団記念館集合→出発→グリーンパーク想い出の森到着→調査地へ移動、調査準備、植生調査→後片付け→想い出の森に帰着後、いきものふれあいの里にてBBQ→就寝

 

7月17日(日)

起床・朝食→植生調査→後片付け→想い出の森に帰着後、夕食→就寝

 

7月18日(月)

起床・朝食・清掃→朽木市場にて聞き取り調査→調査終了→朽木出発→稲盛棟南側駐車場にて解散

 結果のまとめの概要

日時

2011年7月20日(水)

場所
京都大学稲盛財団記念館
参加者
12名 (学部生5 [文1;工1;立命館大学-文1;大阪大学-外1;奈良大学-文1]、 院生6 [文1;農1;人環1;AA研2;地環1]、 教職員1 [農1])
内容

  • 植生調査結果のまとめ
  • 聞き取り結果のまとめ
  • 今後の方針検討

 報告

第66回 朽木のトチノキ巨木林に関する調査〔7月編〕#4」の続き

朽木市場の街並み。この街路は江戸時代に整備され、現在も当時の面影を残しています。

市場の街路には傍らに必ず用水路が見られ、生活用水や消火用水として利用されてきました。

この建物は「丸八百貨店」です。丸八百貨店は昭和8年に立てられ、現在国の登録文化財に指定されています。

市場在住の方から朽木盆に関する話を聞かせてもらっています。朽木では江戸時代に挽物が盛んに行われ、お盆や茶碗などが大量に生産されました。特に朽木で生産されたお盆である朽木盆はブナやトチの大木から作られたそうです。

そのため朽木盆を調べることは、江戸時代に巨木がどのように利用されてきたのかを知る手掛かりになるのではないかと考えられます。

これが朽木盆です。明治時代に陶器の普及が進み、朽木盆は生産されなくなりました。そのために現在は数が限られており、非常に貴重な品です。

別の方から栃餅や朝市に関する聞き取りを行なっています。

トチノキがどのように利用されてきたかを知ることは、トチノキの巨木がいかにして残ってきたかを知る上で非常に重要であると考えられます。

 

こうして3日間の調査は無事終了しました。

皆様お疲れ様でした。

京都大学自然地理研究会

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