第88回 植生調査法@朽木いきものふれあいの里

 趣旨

今回の研究会では、滋賀県北部朽木にて、植物(特に樹木)の観察・同定方法と、ライントランセクトを用いた植生調査法の実習を行いました。実習後には京都市岩倉にて、蛍の観察も行いました。

 案内者

  • 露木啓悟(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科M2)
  • 藤田知宏(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科研究員)

 野外実習の概要

日時 
6月21日(日)
場所
滋賀県高島市朽木 旧朽木いきものふれあいの里
参加者
12名(、院生8[文1,工1,AA研6]、教職員ほか4[AA研4])
行程
京都大学稲盛財団記念館→道の駅くつき新本陣→旧朽木いきものふれあいの里→朽木てんくう温泉→京都市岩倉

 報告

今回の実習では滋賀県の朽木で樹木同定の実習および植生調査を行いました.

実習予定地まで歩いていくと林床にはアセビが繁茂し,ササやその他の広葉樹の稚樹はあまりみられませんでした.アセビはシカが食べるのをさける樹種とし知られており,ここでもシカの影響でこのような林床植生がひろがっていると推測されます.

はじめに,樹木の葉を用いた樹木同定の方法を学びました.葉を用いた樹木同定にはその葉っぱが単葉か複葉かなのかを見分けるのがポイントとなるそうです.

単葉のホウノキ.

円で記したのは複葉のヤマウルシ.矢印で示したのは小葉とよばれ,一枚の葉を構成する一部分です.小葉が一枚の葉っぱではないので要注意.

次に採取した標本の保存方法を教わりました.新聞紙にはさみ,乾燥させます.葉が多い場合は,余分な葉の落とすのがポイント.これにより,カビの発生を軽減することができるとのことでした.ただし,葉を落とす場合は葉のつき方がわかるように,葉の基部は残しておくことが重要です.

昼食後,毎木調査の実習を行いました.まず,測棹を使って,樹高を測る方法を学びました.その後,各グループに分かれ,コドラートを設置し,毎木調査を行いました.

河床近くで調査を行ったグループ.ここでは7種類の樹木がみつかり,その中には攪乱地などでよくみられるアカメガシワやウツギが含まれます.平均胸高直径は8.4cmとここに生育する樹木は個体サイズが小さいことがわかりました.

一方,斜面上部ではコナラのみが記録されました.平均胸高直径は27.0cmと河床近くに比較し,大きいことがわかります.今回の実習では日本の里山に分布するさまざまな樹木の特徴や植生調査の方法を学ぶことができました.

最後に、朽木温泉てんくうの前で集合写真を撮りました。

今回参加された皆様,お疲れ様でした.

京都大学自然地理研究会

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