第46回 屋久島の自然#2

 趣旨

屋久島では、海岸部から標高2,000m近い山頂部まで標高差が大きく、それにともなう植物の垂直分布をみることができます。加えて、生物地理学上の境界にあたることから、南限種が多いことも特徴としてあげられます。屋久島の大部分は風化しやすい花崗岩に覆われ、降水量も極めて多いことなどから独持な生態系が形成されています。また、屋久島の森林ではおよそ500年前から屋久杉を中心とした本格的な伐採がおこなわれ、現在の植生構造・種組成を理解する上で、その影響は無視できるものではありません。今回の自然地理研究会ではこれら森林・植生の分布、森林利用、動物、地形・地質・気候に注目し、島嶼の自然環境を総合的に観察していきます。

 案内者

  • 藤田知弘(アジア・アフリカ地域研究研究科D1)【森林利用坦当】
  • 田村茂樹(元・理学研究科MC)【地質・地形・気候坦当】
  • 中村真介(農学研究科M2)【植生坦当】
  • 高取惇哉(人間・環境学研究科M1)【動物坦当】

 座学・ミーティングの概要

第1回

日時

2009年6月22日(月)

場所
京都大学稲盛財団記念館
参加者
8名 (学部生2 [工1;農1]、 院生4 [農1;人環1;AA研2]、 教員1 [AA研1]、 その他1)

  

第2回

日時

2009年6月24日(水)

場所
京都大学稲盛財団記念館
参加者
8名 (学部生3 [工1;農2]、 院生4 [農1;人環1;AA研2]、 教員1 [AA研1])

  

第3回

日時

2009年7月1日(水)

場所
京都大学稲盛財団記念館
参加者
6名 (学部生2 [工1;農1]、 院生3 [農1;人環1;AA研1]、 教員1 [AA研1])

 野外実習の概要

日時

2009年7月3日(金)−7月5日(日)

場所
屋久島
参加者
7名 (学部生2 [工1;農1]、 院生4 [農1;人環1;AA研2]、 教員1 [AA研1])
行程
7/3(金)

08時00分  鹿児島本港南埠頭到着、朝食

09時10分  鹿児島本港南埠頭出発

11時00分  宮之浦港到着、昼食、環境文化村見学

12時40分  宮之浦港出発

14時11分  紀元杉到着。

14時30分  紀元杉出発、入山

16時30分  淀川小屋到着 <淀川小屋泊>

 

7/4(土)

05時00分  淀川小屋出発 (途中、花之江河、宮之浦岳などを経由)

15時30分  鹿之沢小屋到着 <鹿之沢小屋泊>

 

7/5(日)

05時00分  鹿之沢小屋出発

14時30分  大川の滝バス停到着

 報告

第46回 屋久島の自然」の続き

モウセンゴケとコケスミレ。

モウセンゴケは食虫植物としてよく知られています。

 

花之江河を過ぎると、標高が高くなるにつれ観察できる植物の種組成が徐々に変わり、宮之浦岳・永田岳の山頂付近ではヤクシマダケやヤクシマシャクナゲが数多く生育している植生を観察することができました。稜線では、長径が5-10cmほどもある長石の巨晶が特徴の屋久島花崗岩からなる奇岩が多く見られました。また、永田岳近くで、喜界カルデラからの火砕流堆積物(幸屋火砕流堆積物)の露頭を観察することができました。

森林限界がはっきりと分かります。

宮之浦岳周辺の植生。

塊状に盛り上がって見えるのがヤクシマシャクナゲやアセビの群落で、周りの平坦な部分にはヤクシマダケが生育しています。

屋久島花崗岩。

白い長方形の結晶が長石です。

永田岳の山容。

風化に耐えた花崗岩が散在する奇景を呈しています。

幸屋火砕流堆積物(喜界カルデラからの火砕流堆積物, K-Ah)

屋久島花崗岩を覆っています。

宮之浦岳にて記念撮影。

第46回 屋久島の自然#3」へ続く

京都大学自然地理研究会

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