第115回「あの世から見た京都―千代の古道―」

 要旨

 京都盆地北西端にひっそりと位置する奥嵯峨の歴史は、渡来人の秦氏が土着するようになった5世紀にまでさかのぼることができます。その後の平安時代以降、奥嵯峨に位置する化野は、北の蓮台野、東の鳥辺野とともに京都の三大墳墓地をなしています。今回の巡検では、華やかな歴史を持つ京都の裏の顔ともいえる、かつての風葬の地に焦点を当てその歴史を学ぶことを目的としています。さらに周辺地域の植生などの観察も行います。

 案内者

吉野月華(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科)皆木香渚子(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科)

 野外実習の概要

日時
2020年11月14日(土)
場所
奥嵯峨・北嵯峨
参加者
15名(学部生[文4、理1、工1、教育2、経済1]、院生[文2、ASAFAS2、情報学1]、教員[文1])
行程
JR嵯峨嵐山駅北口集合➡六道の辻➡大覚寺入り口付近で台杉の説明➡化野念仏寺にて化野の歴史を解説➡鳥居本の街道沿いで、戦前にリゾート地であった愛宕山山麓の歴史を解説➡鳥居本街並み保存館見学、その後、この地域で有名な竹の利用について解説➡千代の古道を歩きながら、北嵯峨開拓の歴史を解説➡広沢池にて昼食➡児神社にて成立の経緯を解説➡広沢池北西で台杉の植林地と竹林を見学、周辺の植生解説➡広沢池に戻り、大沢池と合わせて池の歴史や外来魚問題について解説➡広沢池南東岸にて、ゾーニングに基づいた広沢池の管理計画について解説➡佛教大学宗教文化ミュージアム見学➡稲荷古墳➡遍照時➡油掛地蔵➡JR嵯峨嵐山駅北口にて解散

 報告

最初の解説地点である六道の辻にて、小野篁が冥界から帰ってくる時の出口であったと言われる「帰りの井戸」を見学。参加者は全員マスクを着用した状態で、解説や質問をしています。

化野念仏寺では、最初に寺の成り立ちを解説しました。その後の自由行動で、参加者は西院の河原に並ぶ石仏や竹林や赤く色づいた紅葉の景色を各々楽しんでいました。

鳥居本街並み保存館付近にて、街の成り立ちを解説。化野念仏寺より北側には「くずや」と呼ばれる瓦のひさしと茅葺屋根を持つこの地域の伝統的な建造物が居を構え、南側には瓦屋根の町屋が並んでいます。これは鳥居本独特の風景で、伝統的建造物保存地区に指定されています。

広沢池の西岸の小島で記念撮影をしました。秋晴れの青空と真紅の紅葉、広沢池を囲む深緑の山並みが美しく、絶好の巡検日和となりました。

京都大学自然地理研究会

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