第49回 懇話会
趣旨
メンバー同士の研究内容を知り、刺激し合う場として研究発表会を第47回に実施しましたが、これを懇話会と改称し、メンバーの研究紹介だけでなく、自然地理学に関わる様々な話題提供も行う場とすることにしました。
懇話会の概要
- 日時
2009年11月19日(木)
- 場所
- 参加者
発表者および内容
- 「京都・東山におけるシイ林の林相転換へ向けて」―中村真介(農学研究科M2)
京都の東山では、近世以来アカマツを中心とする植生が成立してきたが、近年、マツ枯れによってアカマツが衰退し、人為的撹乱の減少による遷移の進行も相俟って、常緑広葉樹のシイを中心とする森林が拡大している。
このシイ林の拡大について、四季の変化に乏しく単一の樹種として林冠を優占するシイの拡大は好ましくないとの声が挙がっており、東山を所管する林野庁京都大阪森林管理事務所(国有林)では、林相転換を目的としたシイ林の伐採を試験的に行っている。しかし、このような伐採事例は全国的にも例が乏しく、効果的な伐採方法に関する知見は少ない。
本報告では、東山におけるシイ林伐採後の状況や有効と考えられる施業法について、その途中経過を紹介する。
- 「カントにおける地理教育―自然地理学と教育学の邂逅―」―広瀬悠三(教育学研究科D1)
本発表では、自然地理学を学ぶこと、そこに関わることは子どもも含めた人間の生にとってどのような意味をもつか、という視点を軸に考察される。
とりわけ、大学で実質的に初めて自然地理学を講義した近代ドイツの哲学者カントの論考に基づいて、地理教育の人間形成的意味をときほぐす。カントは、いまだに道徳教育や世界市民教育で基盤的位置を占めており、教育学の世界において決して軽視できない存在である。
カントの自然地理学は、彼の批判哲学や教育学とも密接に結びついているため、それらを有機的に関わらせながら論を進めていく。そして現代の教育学の最前線での問題にも関連させるとともに、自然地理学やより包括的な地理学と教育学の接点を見出していきたい。
京都大学自然地理研究会
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