第89回 滋賀:伊吹山登山と高山植物の観察

 趣旨

高山植物にはイブキジャコウソウやイブキトラノオなど「イブキ」を冠した植物がいくつも見られますが、伊吹山は1377mの高さしかありません。なぜ、このような低い山に日本アルプスに見られるような高山植物が生育しているのでしょうか。それは伊吹山が低い山でありながら多雪のために高山的環境を備えた偽高山だからです。古くから日本人に愛されている伊吹山は小倉百人一首でも歌われています。 伊吹山は約3億年前に噴火した海底火山で、地層には約2億5千年前の古生代に海底に堆積した層が含まれています。その頃にはサンゴ礁が形成され、それが母材の石灰岩が採掘されるため、伊吹山は現在無残な姿を呈しています。しかし、山頂付近には平らで広いカルスト台地が広がって登山客を和ませています。山麓から山頂にかけては様々な野草の群生地があり、伊吹山頂草原植物群落は植物天然記念物に指定されています。約1,300種類の植物が生育しており、コイブキアザミ(Cirsiumconfertissimum)などの9種が固有種です。今回の実習では、実際に伊吹山に登るなかで、このような生態系の観察を行いました。

 案内者

  • 片桐昂史(アジア・アフリカ地域研究研究科 D1)
  • 芝田篤紀(アジア・アフリカ地域研究研究科 M1)
  • 水野一晴(アジア・アフリカ地域研究研究科 准教授)

 野外実習の概要

日時
2014年7月20日(日)
場所
滋賀県伊吹山
参加者
11名 (学部生1 [文1]、院生5[AA研3、工1、地環1]、 教職員3 [AA研3]、 その他2)
行程

JR近江長岡駅→登山口→山頂→関ヶ原駅へ下山→駅周辺で夕食→解散

 報告

今回は、滋賀県と岐阜県の県境にある伊吹山を訪れた。

 

朝、8時45分にJR近江長岡駅に集合し、タクシー2台で2合目まで向かった。参加人数は、11人。

 

2合目で資料配付、趣旨説明を終え、軽い準備運動をして、山登りを開始した。

 

3合目に到着直前に小雨が降り始めたので、3合目で暫し雨宿り。3合目付近で、ユウスゲをはじめ少し高山植物を観察した。

 

雨も弱まり、5合目までの比較的緩やかな傾斜を、ゆっくり登っていった。

 

5合目に付く頃には、天気も回復し、頂上付近まで一望した。高山植物の季節だからか、頂上への登山道はたくさんの登山客の姿がみられた。

 

採石所のある伊吹山西側斜面の岩肌も観察した。5合目から7合目には、メタカラコウが優占していた。

 

8合目から9合目は、傾斜もきつくなり、少し息を切らせながら登った。岩肌に生育するイブキジャコウソウを観察できた。

 

12時半頃、頂上に到着。休憩もかね、昼食の時間をとった。

 

頂上には、沢山の売店があり、観光客で賑わっていた。また、頂上一帯には高山植物を観察するための遊歩道が整備されており、頂上付近までハイウェイバスで登り、高山植物を楽しむ観光客もいるようだ。

 

頂上付近で、カルスト地形を観察した。

 

また、保護区内に生育するイブキトラノオを観察した。

 

頂上から西側に下ったあたりから伊吹山の全形を観察。

 

頂上付近で記念撮影。参加された皆様、お疲れ様でした!

京都大学自然地理研究会

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