第74回 六甲山地と神戸の自然環境
趣旨
六甲山は関西地方に住む人々にとって身近な山の代表であり、気軽に軽登山を楽しむことができます。一方、六甲山地では花崗岩質の地質や断層の活動によって大量の土砂が生成され、古くから水害を引き起こしてきました。そのため、六甲山ではいたるところに砂防ダムを見ることができます。また、大量の土砂が流入することによって六甲山地南麗には扇状地や天井川といった地形が形成されました。
今回の自然地理研究会では、六甲山の形成過程や地質構造、そしてそれらに深く関連している六甲山の砂防や神戸の天井川といったテーマについて解説し、六甲山と神戸の町の関わりについて理解を深めました。また、六甲山で見られる植生や野鳥の観察も行いました。
案内者
- 手代木功基(地球研/甲南大・非)
- 田中孝明(工学部)
野外実習の概要
- 日時
2012年6月24日(日)
- 場所
- 参加者
- 行程
阪急神戸線岡本駅南口集合→保久良神社を経て風吹岩(昼食)→五助堰堤を見学→住吉川に沿って下山→岡本駅で解散
報告
六甲山地は兵庫県南部に位置する東西約30km、南北約10kmにわたる近畿地方を代表する山地です。今回はその中でも神戸市街地に近い、六甲山地の南部を対象にした実習を行いました。
阪急岡本駅に集合し、急な坂を登って保久良神社へ。六甲山地には多くの活断層が走っており、六甲山系はこれらの断層の活動で隆起した断層山地です。六甲山地南麗の傾斜が急な斜面も、断層に起因しています。
保久良神社からの眺め。六甲山では断層による急斜面の直下に大都市が形成されているため眺めが良く、夜景スポットとなっています。
保久良神社周辺は、中生代に形成された泥岩がみられます。これは、六甲山を構成する主要な岩石である花崗岩よりも古い岩石です。
保久良神社ではイノシシが見られました。イノシシは六甲山周辺の住宅地にも出没し、人に危害を加えるなどの問題を引き起こしています。
植生を観察しながら登っていきます。
この木はニセアカシアです。ニセアカシアは、やせ地でも成長が早いため、植林樹種として植えられてきました。現在でも六甲山にはニセアカシアが多く見られます。
登山道の谷沿いには一部で人工林もみられました。スギ・ヒノキの違いを学びます。
岩石が変化してきました。花崗岩が目立つようになり、その風化物質であるマサが地面を覆っています。マサは侵食されやすいため、登山道となっているところはかなり削れています。
「第74回 六甲山地と神戸の自然環境#2」へ続く
京都大学自然地理研究会
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