第65回 植生調査法@朽木#3
趣旨
今回の研究会では、滋賀県北部の朽木谷において、植物(特に樹木)の観察・同定方法と、植生調査法の実習を行います。
座学で植生調査の意義や方法論を学び、現地で実際に練習を行いますので、初めての方でも気軽に参加していただけます。
具体的には?樹木の種名の調べ方、記載の仕方、?地形などの環境条件と植物の対応関係の調査法を勉強します。
案内者
- 飯田義彦(京都大学大学院地球環境学舎)
- 手代木功基(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科)
座学の概要
- 日時
2011年5月12日(木)
- 場所
- 参加者
- 内容
- 植生調査の方法について
(トランセクト法とコドラート法、簡易測量等についての簡単な説明)
- 植生調査・朽木の植生に関連する文献紹介
(植生調査の意義や成果について,実際の研究論文から学びます)
野外実習の概要
- 日時
2011年5月15日(日)
- 場所
- 参加者
- 内容
- 図鑑を使った植物(樹木)の同定の実習
- コドラートを用いた植生調査(地形との対応を検討)
- 調査結果のまとめ
- 行程
大学を出発→朽木朝市見学→「朽木いきものふれあいの里」着。
その後、樹木同定等の説明・実習→昼食→植生調査開始→調査終了。
その後、調査結果をまとめる→「朽木いきものふれあいの里」を出発
→京都着(途中、くつき温泉てんくうにて入浴)→打ち上げ(水野邸@岩倉)
報告
「第65回 植生調査法@朽木#2」の続き
植生調査法の修得のクライマックスです。各班でまとめた図と樹種の構成をもとに調査区の特性について地形や過去の履歴などと関連付けて考えたことを説明します。各班の説明を受けることで3箇所の違いがわかります。
以下は各班が作成した樹冠投影図です。
A班は河川近くに調査区を設置しました。出現樹種はネジキ,クロモジ,シロモジ,カエデ類,スギが記録されました。計測10個体のうち,4個体が株立ちのもので,8本に分かれた個体も見られました。ほとんどの個体は,胸高直径が10cm以下,樹高7m以下と比較的小さな個体が目立ちました。樹冠の広がりは個体によっては長径10m近くあるものがあり,樹冠が込み合っていることがわかります。
B班は傾斜角が43°という急斜面で調査しました。出現樹種はコナラ,クリ,アカシデ,カマツカ,アカマツ,アセビが記録されました。計測した20個体のうち樹高5m以下のものが15個体あり,比較的小さな個体が多く生育していることがわかりました。
C班は,林内の平坦地で調べました。計測樹木8本のうち6本がコナラでした。コナラ6本のうち,2本は枯死,残り4本の生立木の樹高はいずれも20m以上,胸高直径は20cm〜30cmでした。樹冠の大きさが直径10mを超えるコナラも生育していました。全体として立木の密度は低いですが,樹冠の広がりと重なりによって調査区のほとんどが覆われていました。
調査も無事に終わり,グリーンパーク想い出の森にある温泉で汗を流しました。
長い一日の締めは,恒例のBBQです。学部生から大学院生,留学生,他大学からの学生といった幅広い参加者と交流ができました。みなさま,お疲れさまでした!
(文責:飯田義彦)
京都大学自然地理研究会
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