第6回 植物・地形・土壌観察
趣旨
「植物・地形・土壌観察」の野外実習
講師
- 原 真司(京大・農・林学科・院生)【植物】
- 水野一晴(京大・AA研・教官)【地形】
概要
- 日時
2002年5月12日(日) 午前8時−午後4時
- 場所
- 参加者
報告
今回は、花折断層に沿って地形を観察し、朽木村で植物の観察を行いました。天候に恵まれて充実した勉強会になりました。
花折断層に沿って、安曇川が流れています。この安曇川沿いに「鯖街道」があり、古くから若狭の産物が京都に運ばれてきました。
この谷の最南端にある花折峠は、平安時代に葛川坊村の明王院に参拝する貴族たちが、付近に多く自生していたシキミの花を供えるために手折ったことから、「花折」と名付けられました。
安曇川を上流に向かって眺めると、断層に沿って形成されたV字谷を見ることができます。断層による破砕帯が侵食されて、安曇川沿いの直線的な谷ができました。
これは、破砕帯の岩壁を見たものです。岩壁が破砕されて、ぼろぼろになっているのがわかります。破砕によって侵食され、谷が形成されていきます。総延長50kmにものぼる花折断層は、40万年前から活動を始めたと推定されており、右ずれ断層です。また、縦ずれも起こしており、断層を境にして、東側の比良山地は西側の丹波山地より300mほど高くなっています。
朽木村の市場の集落を通り抜けて、山神橋を越えたところから見た風景です。背景の山々が比良山地で、手前の平らな高台は河岸段丘です。朽木村温泉やテニスコートなどが広がる「グリーンパーク想い出の森」や今回の植物観察を行った「いきものふれあいの里」はこの段丘面 上にあります。このあたりは、地殻変動で土地が隆起し、かって川が流れていた河床は高い位 置にきました。そして土地の隆起とともに河川の下刻作用が活発になって、川によってさらに深く刻まれて現河床ができました。したがって、段丘面 は昔、川が流れていた河床なのです。ですから、平らな高台を作っています。
朽木村で植物観察です。今回はコナラ属を中心に勉強しました。ドングリを生産するコナラ属は、かつての人々の暮らしを考える上でも学ぶ意味があります。
自然の中で学ぶのは楽しいです。植物のいろんなことがわかります。
今回は天気が良かったのでほんとうに助かりました。
「第6回 植物・地形・土壌観察#2」へ続く
京都大学自然地理研究会
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