第106回 「京大周辺の自然観察:比叡山の地形・植生」

 趣旨

今回は京大生にとって身近な山である比叡山を歩き、植生や地質の観察を行います。また、門前町の坂本を散策します。植生については比叡山で見られる代表的な樹木を観察し、この時期だけ観察できる発芽直後の幼木を観察します。また、地質については比叡山を構成する花崗岩とホルンフェルスを観察し、地質と地形の関係について説明します。頂上付近からは、京都市内及び琵琶湖の景観を概観する予定です。

 案内者

神品芳孝(京都大学大学院文学研究科地理学専修修士課程)

松本優希(京都大学文学部文学研究科地理学専修修士課程)

 野外実習の概要

日時
2018年4月28日(土)
場所
滋賀県大津市、京都府京都市
参加者
15名(学部生7[文3、工2、立命大法1、明治大農1]、院生7 [文5] [地球環境学舎1] [ASAFAS1]、教職員1[文1])
行程
JR比叡山坂本駅(趣旨説明・自己紹介)→坂本の門前町を散策→日吉大社横から比叡山登山→途中昼食→ケーブルカーで下山→打ち上げ(水野邸でBBQ)

 報告

朝9:00に比叡山坂本駅に集合!自己紹介と趣旨説明をしたあと、登山口を目指しつつ坂本の門前町を散策しました。公人屋敷(旧岡本邸)というところで、比叡山延暦寺と坂本の町の歴史を学びました。

公人屋敷(旧岡本邸)というところで、比叡山延暦寺と坂本の町の歴史を学びました。

坂本の街は穴太衆による石組みがみられました。新名神高速道路の盛土と東海自然歩道の間に採用されるなど、現代でも通用する技術であるそうです。

日吉大社を横目に見ながら登山開始です。

途中で見られた実生による幼樹です。左はモミ、右上はアカガシ、右下はヤマザクラかと思われます。

比叡山の下部は風化した花崗岩がみられました。花崗岩は風化しやすく、風化した花崗岩はもろく、真砂土と呼ばれる石英の白い砂になっていきます。この真砂土が堆積した登山道は雨による侵食を受け、土壌が削れて写真のようなガリができていました。

一方比叡山の上部はこのようにホルンフェルスと呼ばれる、花崗岩のマグマが噴出したときその熱で周りの堆積岩(頁岩)が変成してできた変成岩がみられました。ホルンフェルスは花崗岩に比べて侵食に強いため残り、現在では花崗岩地帯に比べて標高が高くなっています。今回は花崗岩とホルンフェルスの境界はわかりませんでしたが、京都府側から登るとはっきりと境界を見ることができます。境界部の写真は第54回の自然地理研究会の活動報告で見ることができます。

トカゲを捕まえました。尻尾が青いのは若いトカゲで脱皮を繰り返し成長するにつれて青色は消えてしまうそうです。

ヘビを捕まえました。これは性格がおとなしく、毒のないシマヘビだそうです。

延暦寺は時間の関係で拝観できませんでしたが非常に大きな伽藍を誇るお寺でした。

延暦寺を過ぎたところで昼食をとりました。

頂上付近の景色の良い場所で集合写真を撮りました。

ケーブルカーと叡山電鉄を乗り継いで宝ヶ池駅へ。

バスで水野邸に向かい打ち上げのバーベキューをしました。みなさまお疲れ様でした!

京都大学自然地理研究会

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