第101回 京大周辺の自然観察:大文字山と東山連峰
趣旨
今回の研究会では、大文字山を舞台に植生と地形・地質という複数の面から身近なフィールドで自然観察を行う。身近な里山の植物についての基本的な実習や、京都盆地を取り巻く山並み、とりわけ東山連峰についても概観していく。
案内者
雨宮いほ乃(文学研究科)石崎楓(文学部)村上巧(工学部)水野一晴(文学研究科)
野外実習の概要
- 日時
- 4月30日
- 場所
- 京都市大文字山
- 参加者
- 29名(学部生10[文8、理1、工1]、院生13[文5、AA研6、工1、奈良女子大1]、教職員3[文1、東南アジア地域研2]、社会人3)
- 行程
- (白川今出川交差点南西角集合→銀閣寺横登山口から登山、適宜地質・植生に関するレクチャー→「大」の字の火床にて送り火、地形に関するレクチャー→山頂にて昼食→霊巌寺へ下山→打ち上げ(BBQ)→解散
報告
今回、2017年度最初の巡検は京都市大文字山にて行いました。朝、白川今出川交差点に集合し、大文字山へ向かいました。
大文字山入口付近で花崗岩が風化している様子を観察しました。大文字山と比叡山の一帯は堆積岩の頁岩地帯ですが、両山の間はマグマが上昇し、それが冷えて固まった花崗岩地帯となっています。
頂上付近では粘土鉱物を主とする岩石(ここでは頁岩)にマグマ(ここでは花崗岩)が接触し、高温で安定的な鉱物に変わり、非常に緻密な岩石であるホルンフェルスという変成岩になっています。ホルンフェルスは固く、これが侵食されにくいことで大文字山と比叡山の山頂は形成されています。
登山中、様々な植物を観察しました。
見るだけでなく、実際に手で触れて葉の感触を確かめました。
ナラ枯れの原因となるカシノナガキクイムシが入った穴は写真のようにプラスチックの爪楊枝で虫が出てこないようにふさがれます。
切り株から新しい芽が出てこないように、切り込みが入れられた切り株が見られました。
大文字火床から京都市内を一望できました。京都盆地の東を走る花折断層の観察をしました。また、五山送り火の歴史等についても学びました。
下山途中、大きな頁岩を見ることができました。頁岩は本のページ(頁)のように薄く層状に剥がれることからそう言われます。
下山後、哲学の道を通りました。写真からも葉桜の美しさがわかると思います。
山頂での集合写真です。
巡検後、BBQをして打ち上げをしました。皆様お疲れ様でした。
京都大学自然地理研究会
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