!!!研究会20周年記念企画 生態水文学研究所実習 !!要旨  自然地理研究会20周年を記念して愛知県瀬戸市の東京大学大学院農学生命科学研究科附属演習林生態水文学研究所にて1泊2日の実習を行い、観測施設や量水堰等を見学しました。当初は、小河川での流量測定や量水堰の砂出し体験を予定しておりましたが、残念ながら雨天のため中止しました。代わりに瀬戸染付工芸館の訪問と絵付け体験を実施し、瀬戸を代表する産業である窯業に触れました。 !!案内者 大谷侑也さん(生態水文学研究所特任助教 博士(文学)2020年3月 京都大学)   !!野外実習の概要 ::日時 :::2022年9月21日(水)・22日(木) ::場所 :::愛知県瀬戸市 ::参加者 ::: 10名(学部生7名[文6、法1] 院生1名[AA1] 教員2) ::行程 :::9月21日{{br}}  11:00 名鉄瀬戸駅で集合→赤津研究林へ移動{{br}}  12:00 昼食・趣旨説明・自己紹介{{br}}  14:00 気象測定システム・量水堰についての解説{{br}}  15:00 小長曽(こながそ)陶器窯跡見学{{br}}  16:00 陶祖(とうそ)公園訪問{{br}}  18:00 夕食(BBQ){{br}}{{br}}   9月22日{{br}}  10:00 研究所の歴史・砂出しの実習についてレクチャー{{br}}  11:00 瀬戸染付工芸館の訪問{{br}}  12:00 昼食(弁当)→名鉄瀬戸駅で解散 !!報告 {{img 1.jpg, height=340}}{{br}} 名鉄瀬戸駅から東京大学生態水文学研究所へ移動しました。{{br}}{{br}} {{img 2.JPG, height=340}}{{br}} 昼食後、研究所の気象測定システムについて研究所の方からレクチャーを受けました。{{br}}{{br}} {{img 3.JPG, height=340}}{{br}} 研究所の気象測定システムは、最新の測定機器を導入するのではなく、基本的に画像の雨量計のようなアナログな測定機器を使い続けています。{{br}}{{br}} {{img 4.JPG, height=340}}{{br}} 量水堰は、川の水量を計測する施設です。赤津(あかづ)研究林の量水堰は、1929年に完成しました。量水堰としては世界的で3番目の古さを誇っています(最古のものはスイスに存在するそうです)。気象観測・水量観測ともに、90年近く方法を変えず観測を続けており、そのことにより高い価値の観測データとして評価されています。川の水流は、長さ20cmのノッチ(四角い隙間)から流れてきますが、この際の貯水槽の水面から流量を求めています。{{br}}{{br}} {{img 5.JPG, height=340}}{{br}} その後、小長曽陶器窯跡を見学しました。この窯跡は、室町時代に陶器を焼く窯として使われ、その後の中断期間を経て、江戸時代に再び窯として使われました。室町期の地層からは広葉樹の炭が出土し、江戸期の地層からは針葉樹の炭が出土しています。これは、広葉樹を窯の燃料として使い果たした後、窯を一度放棄し、江戸時代に二次林として生えてきた針葉樹を燃料として使った証拠と思われます。{{br}}{{br}} {{img 6.JPG, height=340}}{{br}} 陶祖公園では、20世紀初頭に東京帝国大学のお雇い外国人であったホフマン主導で建設されたホフマン工事の跡が残っています。これは、当時ハゲ山であった一帯を復旧させるために、土堰堤と柳柵を建設することで渓流と山裾を安定させる工事です。画像でははっきりと跡を認められませんが、ハゲ山だった一帯がここまで回復したことに思いを馳せてみてください。{{br}}{{br}} {{img 7.JPG, height=340}}{{br}} 陶祖公園一帯は、かつて東海湖の湖底であったため、水流の侵食を受けた花崗岩由来の丸い石が見られます。下の方にはより細かい粘土が堆積しており、これが瀬戸焼を支える陶土として用いられています。{{br}}{{br}} {{img 8.JPG, height=170}}{{br}} 研究所に戻り、量水堰の前で集合写真を撮影しました。{{br}}{{br}} {{img 9.jpg, height=340}}{{br}} コロナ禍の中で当研究会でも久しく行えなかったバーベキューをようやく実施しました。しばしの間、教員・学生たちで歓談することができ、交流を深めることができました。{{br}}{{br}} {{img 10.JPG, height=340}}{{br}} 翌日午前中は、研究所の方から、雨天によって中止になった砂出し実習についてのレクチャーを受けました。砂出し作業では、量水堰に溜まった土砂の堆積面の形状を測量し、一定期間内に堆積する土砂の量を調べます。こちらも量水堰の設置以降観測が続けられてきており、研究所の歴史の中では、1960年代にはかなり土砂の流出量が多かったそうですが、治山の中でその量は減っていきました。{{br}}{{br}} {{img 11.JPG, height=340}}{{br}} その後、瀬戸染付工芸館で絵付け体験を行いました。{{br}}{{br}} {{img 12.JPG, height=340}}{{br}} 参加者たちの力作です。{{br}}{{br}} {{img 13.JPG, height=340}}{{br}} 工芸館には資料館も付属しており、瀬戸焼についての歴史を学ぶことができました。{{br}}{{br}} 今回の実習は、これにて終了し、名鉄瀬戸駅にて解散しました。大谷さんをはじめとして、研究所の皆さまにはお世話になりました。おかげで実りのある実習となりました。この場を借りてお礼申し上げます。