!!!セミナー第5回 研究報告会 !!概要 ::日時 :::7月18日(金) ::場所 :::京都大学稲盛財団記念館301号室 !!発表者および内容 ::話題提供者1 :::福島直樹(京都大学大学院ASAFASグローバル地域研究専攻) ::タイトルおよび要旨 :::「ラオス北部焼畑民の生存基盤―生活用具の保有と貸借ネットワークに着目して―」 本報告は,近年既製品が急速に流入するラオス農村における農民の生存基盤の所在を明ら かにすることを目的とする.生産性を個人や世帯単位で測る従来の開発観と一線を画し て,村内で日常的におこなわれている交換様式に着目することで,調査村の農民がいか にして日々の生活の不足を補いうるかを検討した.調査村において農民が生活を維持す るために必要なものは、生活用具を保有することにあるのではなく,不足が生じた際に それを借りてこられるような人的ネットワークを維持することにあったといえる.この 人的ネットワークの維持は,生活用具貸借の場合,基本的に三親等以内の血縁が利用さ れていた.およそ20品目ほどの生活用具の利用が可能なとき生存基盤を維持できること が示唆された. ::話題提供者2 :::二ツ山達朗(京都大学大学院ASAFASグローバル地域研究専攻) ::タイトルおよび要旨 :::「樹木の性質と信仰―チュニジアにおけるオリーブの事例から―」 本発表では,樹木と関わる信仰を,樹木の性質と,それと折衝する人々の実践から 考察することを目的とする.これまでのような象徴論的な考察のみではなく, パース記号論に依拠しながら,人々の実践を可能に,または制御する物質性から信 仰を考察する.  具体的には,チュニジアにおいてオリーブが神の恩寵とみなされている事例取り 上げる.オリーブの性質が人や周囲の物質と関わるなかで,それらが相互に行為の 可能性と限界を与え合い,神の恩寵が生成し安定する様を報告する.