エコックの斜面を登りはじめる。近づいてみると,山というよりは,半球形の岩のドームだ。粘度の高い溶岩が凝固したようで,草もほとんど生えてない。異星の表面のような,奇妙な光景。最初は急な斜面で,上に近づくほどゆるやかになる。転げ落ちないように,しかし早足で登る。
頂上に立つと,むこう側はかなり広く平らになっている。熱帯林の樹冠を完全に越しているから,高さは80mほどもあるだろうか。なぜこんな場所に,こんな岩が突きだしているのだろう。地質学的には説明がつくのだろうが,誰か調べた人はいるのだろうか。
飛行機が下を飛ぶには少し低すぎるが,しかしカメルーンの森が遥かに見渡せる。あとで合成するつもりで,360度の写真を撮る。交通の便が良ければ,けっこうな観光名所になっているだろう。キャッチフレーズはさしずめ,「カメルーンのエアーズロック」か。
しかしいまこの眺めは,苦しい思いをして歩いてきた我々だけのものだ。