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小松かおり

(写真上:カメルーンとコンゴ共和国の国境を流れる大河ブンバ(Boumba)川を前にして。)

 関心分野:

人類学・地域研究・食文化・環境利用

(写真左上:元旦のごちそう。茹でたプランテンバナナを叩いた団子と、サル肉(左上)、干し魚とキャッサバの葉をアブラヤシで煮込んだもの(中央、右下)(コンゴ)。写真右上:食事は、男女別に食べることが多い。皆でひとつの鍋からつまんで食べる(カメルーン)。)

 研究テーマと研究歴:

アフリカ熱帯雨林地帯と沖縄を対象として、農業を中心とする生業と食文化の研究。北海道生まれのためか南にあこがれ、まずは沖縄で調査を開始。沖縄の市場で豚肉の並んだショーケースの迫力に圧倒されて研究をはじめる。豚肉に対する深い知識に裏打ちされた、売り手と買い手の自由な交渉に興味を引かれ、個性のぶつかり合いとしての交渉を論文に書く。

1991年から、アフリカの熱帯雨林、コンゴとカメルーンで、食文化と環境利用に関する調査をおこなう。アフリカの熱帯雨林は根栽農耕文化であり、キャッサバ、ヤムイモ、タロイモなどのイモ類と料理用バナナを主食としている。毎日毎日、バナナを食べ続けた。彼らの食に対するこだわりをについて考察する。また、野生植物が繁茂して、自然と共同でつくりあげるような混作畑に興味をもち、環境利用に関する調査をする。現在は、焼畑、バナナ栽培といったこの地域の農耕をアフリカ全体、または熱帯地域の中で位置づけることを考えている。

99年から、アフリカでバナナを食べてきた研究者仲間と「バナナの足」研究会を立ち上げ、東南アジアからアフリカまでの熱帯林地方の文化を「バナナ」を切り口として比較する研究に取り組んだ。インドネシアとカメルーン、インドで調査。

2001年から、沖縄の市場のその後の変化を追う調査をはじめ、2003年からは、市場から農産物の生産地の変化を考える研究をはじめた。目下、在来豚アグー、島バナナ、もずくと海ぶどうが対象。

(写真左上:収穫されたキャッサバ。これを数日溜まり水につけて毒を抜き、ほぐして天日に干す(カメルーン)。写真右上:干した後、粉にふるって、熱湯でこねて主食に。つけあわせは野生の蔓、グネツムの葉とキノコをラッカセイソースで煮込んだもの(カメルーン)。)

  主な業績:

1.小松かおり、「食事材料のセットと食事文化-カメルーン東南部移住村の事例より」 『アフリカ研究』、 1996年3月 、 第48号、 p.63-p.78

2.Kaori KOMATSU, ”The food cultures of the shifting cultivators in central Africa: the diversity in selection of food materials”, African Study Monographs, 1998年3月、Supplementary Issue No.25、p.149-p.178

3.小松かおり・塙狼星、「許容される野生植物-カメルーン東南部熱帯雨林の混作文化」、『エコソフィア』 2000年10月、 第6号、P.120- P.133

4.北西功一、塙狼星、小松かおり、丸尾聡、「インドネシアにおけるバナナ文化の予備的考察-スラウェシ島のマンダールとジャワ島のスンダの比較から」(共著)『山口大学教育学部研究論叢』、2000年 第50巻第一部 p. 29-p. 48

5.小松かおり、「アフリカ熱帯雨林地帯の食文化と食事の多様性」『日本ナイル・エチオピア学会ニュースレター』 2001年2月、No.10、p. 4-p.

6.小松かおり、「シシマチ(肉市)の技法」、松井健編、『講座生態人類学 第6巻核としての周辺』、2002年、京都大学出版会 p. 39-p.90

7.小松かおり、「第一牧志公設市場のゆくえ-観光化による市場の変化」、松井健編、『開発と環境の文化学』、2002年 榕樹書林 p.165-185

8.小松かおり、「アフリカの焼畑と混作-在来農法の語られ方」本多俊和、大村敬一、葛野浩明編『文化人類学研究(’05)(放送大学大学院教材)』放送大学教育振興会 p. 187-209

(写真左上:アフリカ中央部の熱帯林の畑は、焼畑で多種混作。雑草の繁茂が速いため、植え付け後半年もすると藪状態になる(カメルーン)。写真中:熱帯林のもうひとつの主食、プランテンバナナ。たくさんの種類がある。このバナナはストライプ模様(カメルーン)。写真右上:プランテンの収穫作業。バナナは収穫後は皮を剥いて煮るだけなので、キャッサバほど調理に手間がかからない(カメルーン)。)

→世界のバナナ文化については、「バナナの足」研究会のサイト参照。

2005年7月15日 現在