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カメルーンにおける熱帯雨林関係のプロジェクトと実行組織

 カメルーンにおける熱帯雨林関係のプロジェクトと実行組織

(写真上:2005年2月にコンゴ共和国のブラザビルにおいてフォレスト・サミットが行われた。中央アフリカ諸国の大統領や国際機関の代表が集った(写真撮影/服部)。)

カメルーンにおける熱帯雨林関連の調査研究も、上記のような“Tropical Forest International”の枠組と無縁ではない。アフリカ諸国の研究組織に関しては、研究の財源や研究のためのポスト(人件費)等の資源を外国の組織、またはその意向を強くうけた現地政府やNGOに依存することが多く、そのような「資源」なしでは研究活動そのものが不可能であることから、いっそう” Tropical Forest International”の影響が強くなっている。

現在、カメルーンの熱帯雨林地域に関しては、まるで自然保護活動のデパートのように、各国が競うようにして、さまざまな保護活動を展開している。それらは、ときに競合しながらも、活動地域や援助対象に少しずつ差異をもたせており、全体としてはかなり緊密な協調体制を組んでいる。それはまさに、”Tropical Forest International”が機能している現場を目の当たりにするような状況といってよい。

カメルーンで活動している自然保護関係の組織には、IUCN(国際自然保護連合、本部ジュネーブ)やCIFOR(国際森林研究センター、本部ボゴール)等の国際機関をはじめ、EUの支援を受けたAPFT(Avenir des Peoples en For?t Tropicale 本部ブリュッセル、2000年に主なプロジェクトは終了)やECOFAC(ECOsyst?mes Forestiers d’Afrique Centrale 、地球環境基金(GEF)の資金によるEU主体のプログラム。現在、カメルーンにおける活動は終了)、TROPENBOS(本部はオランダのワゲニンゲン)などのプロジェクト実行組織、WCS(Wildlife Conservation Society、 本部ニューヨーク)やWWF(国際自然保護基金)等の国際NGO、GTZ(ドイツ政府海外援助組織)、SNV(オランダ政府援助組織)、CARPE (Central African Regional Program for the Environment、US-AIDの支援をうける)などの各国政府の支援組織など、さまざまな組織形態のものが存在しており、それぞれ力点の置きどころが異なっている。たとえばカメルーンでは、WCSやWWFは森林保護計画の立案と実行を主目的としているが、TROPENBOSは林産物の持続的利用に重点をおき、APFTは森林居住民の将来像の模索を主な目的としている。また、CARPEは自身で保護活動やそのための調査をおこなうというよりは、実行組織に対する支援と情報収集に重点をおいているし、GTZは主として保護区周辺の住民に関する調査と環境教育活動を行っている、という具合である。

ここでは、とくにカメルーンの熱帯雨林地域で精力的な活動をしているWWF、WCSをはじめ、さまざまな調査活動を支援しているCIFOR,CARPE, GTZなどの国際組織の活動を中心に紹介する。また、カメルーン国内のヤウンデ大学などの研究教育活動や、カメルーン熱帯雨林地域に関する豊富な資料を有するIRD(Institut de Recherche pour la D?veloppement、旧ORSTOM)や、国立植物標本館(National Herbarium)、国立文書館(Archive Nationale)等について報告し、最後に、日本人によるこの地域での活動についてもあわせて紹介したい。