現代のアフリカ社会が直面する最大の困難は、紛争による社会秩序の解体と疲弊です。そして、この課題に迅速かつ有効に対処することは、アフリカ社会の成長と安定にとって、不可欠でもっとも重要な「鍵」となっています。

 

アフリカでは、とくに1990年代に入ってから大規模な内戦や地域紛争など、多種多様な紛争が頻発し、膨大な数の難民や国内避難民が発生しました。そして、こうした事態に対処するために国際社会は、軍事的介入や停戦・和平協定の締結支援、紛争後の制度構築への協力、国際刑事裁判所などによる司法介入、NPOなどの市民社会からの支援といったかたちで関与し、一定の成果をあげてきました。しかしながら、紛争の当事者たちが和解し、引き裂かれた社会関係を修復するためには、こうした外部からの介入はあまり有効にははたらきません。

 

アフリカには、人びとが編み出し運用してきた知識や制度が存在します。そして人びとは、そうした自前の処方箋にもとづいて紛争に自律的に対処し、共生を実現してきました。こうした知識や制度は、現在の紛争の処理や社会秩序の再生を構想するためにも活用できるはずです。本講座では、こうしたしくみについてお話します。


日 時:2012年9月15日(土) 午後3時~5時

会 場:京都大学稲盛財団記念館3階 中会議室
http://jambo.africa.kyoto-u.ac.jp/~front-a/access.html
講 師:太田 至 (京都大学アフリカ地域研究資料センター 教授)


 

 

 

 

 

 

講師プロフィール

太田 至 (おおた いたる)
1953年長野県生まれ。京都大学大学院理学研究科博士課程修了、理学博士。専門はアフリカ地域研究、人類学。アフリカの乾燥地域にひろがる牧畜社会を対象として、家畜と人間のあいだのさまざまな関係を調査してきた。現在は、急速に変動する社会環境を人びとがどのように理解し対処しているのか、そして、内戦や民族紛争にともなってどのような問題がおこり、人びとはいかにして共存の道を模索しているのかを、重要な研究テーマとしている。編著書に、Displacement Risks in Africa: Refugees, Resettlers and Their Host Population. Kyoto: Kyoto University Press (Gebre Yntiso と共編)、『遊動民(ノマッド)―アフリカに生きる―』昭和堂(田中二郎・佐藤俊・菅原和孝と共編)、『続・自然社会の人類学―変貌するアフリカ』アカデミア出版会(田中二郎、掛谷誠、市川光雄と共編)などがある。