アフリカ人の名前は一種独特です。多くの場合、子供が生まれた時点での命名者(これは通常子供の両親)の一番の関心事が、子供の名前となって表れてくるからです。


例えばコンゴのテンボ族には、「葬式、喪」という名の人がいます。これは、親族が喪に服している間に生まれた子供のことです。

 

また、「よい友情」という名の人もいます。これは「よい友情は兄弟関係に勝る」(「遠くの親戚よりも近くの他人」に相当)という諺の最初の部分を取ったものです。お金で苦労したけれど兄弟が誰も貸してくれなかった、しかし友人が助けてくれたということで兄弟を叱責するメッセージとなっているのです。


テンボ族の人名は、出来事や思いを記録する役目を担っています。これは、彼らの社会が無文字であるということと大きく係わっています。


本講座では、無文字社会における文字というべき人の名前について多くの例を紹介するとともに、なぜそのような名前をつけるのかを考えます。


日 時:2012年3月17日(土) 午後3時~5時

会 場:京都大学稲盛財団記念館3階 中会議室
http://jambo.africa.kyoto-u.ac.jp/~front-a/access.html
講 師:梶 茂樹 (京都大学アフリカ地域研究資料センター 教授)



 

 

講師プロフィール

梶 茂樹 (かじ しげき)
1951年香川県生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程修了、文学博士。専門はアフリカ地域研究、言語学。アフリカ諸語を対象としたフィールドワークの手法の開発、そして言語記述をベースに言語と文化の問題を考察している。また、国語の問題など社会言語学的テーマや、少数言語・危機言語の問題などにも積極的に取り組んでいる。1970年代、80年代は主としてコンゴ(ザイール)、90年代はセネガル、タンザニア、2001年からはウガンダで調査を行っている。著書に、『アフリカをフィールドワークする』(大修館書店, 1993)、『アフリカのことばと社会-多言語状況を生きるということ』(三元社, 2009, 砂野幸稔と共編著)、『事典 世界のことば141』(大修館, 2009, 中島由美・林徹と共編著)などがある。