日時:2010年12月11日 (土) 15:00~17:00
場所:京都大学稲盛財団記念館中会議室
   

砂漠に生きる

講師:田中二郎(京都大学 名誉教授)

南部アフリカ、カラハリ砂漠のブッシュマン、および東アフリカ、ケニア北部半砂漠の遊牧民など、主として乾燥地域に住む人びとを対象に研究してきたが、本講座では40年間現地調査に携わってきた狩猟採集民ブッシュマンについて、彼らの伝統的な狩猟採集生活と遊動的な社会構造についてお話しする。
前半では、酷暑で降雨量の少ない夏と厳寒で乾ききった冬の乾季という過酷な自然環境のなかで人びとが野生の自然に全面的に依存しながらいかに適応的に暮らしをたて、社会を維持してきたかを解説する。

後半では、1979年より政府主導で進められてきた定住化、近代化による急激な生活・社会の変化の過程を時代を追ってたどりつつ、人びとが経験した試練と苦悩、新しい環境への見事ともいうべき順応の様相を明らかにする。定住化から30年をへたこうした経緯を踏まえたうえで、さらに人びとの将来の可能性についても展望したい。

 

【講師プロフィール】

田中二郎(たなか じろう)
京都大学名誉教授
1941年京都生まれ。京都大学理学部卒業。東京大学大学院社会学研究科博士課程中退。理学博士。京都大学霊長類研究所助教授、弘前大学人文学部教授、京都大学アフリカ地域研究センター、アジア・アフリカ地域研究研究科教授を歴任。
専門は人類学、アフリカ地域研究。狩猟採集民ブッシュマン、ムブティ・ピグミー、遊牧民レンディーレ、ポコットなどを対象とした生態人類学的研究をおこなってきた。

主な著書に『ブッシュマン―生態人類学的研究』(思索社、1971年)、『砂漠の狩人―人類始源の姿を求めて』(中央公論社、1978年)、“The San Hunter-Gatherers of the Kalahari---A Study in Ecological Anthropology” (Univ. of Tokyo Press, 1980)、『最後の狩猟採集民―歴史の流れとブッシュマン』(どうぶつ社、1994年)、『ブッシュマン、永遠に。(変容を迫られるアフリカの狩猟採集民)』(昭和堂、2008年)他多数。