日時:2010年7月24日 (土) 15:00~17:00
場所:京都大学稲盛財団記念館中会議室
   

アフリカのさまざまな「声」
-ボンガンドとバカ・ピグミーの発話から

講師:木村大治(京都大学アフリカ地域研究資料センター)

 

目で見ることば=アフリカの手話の世界

講師:亀井伸孝(大阪国際大学)

アフリカのさまざまな「声」 -ボンガンドとバカ・ピグミーの発話から アフリカを訪れると、私たち日本人の常識を揺るがすようなコミュニケーションの様式をもつ人々に会うことができます。

たとえば、明示的な聞き手がいないにもかかわらず、演説のように熱心に大声で話す人々(コンゴ民主共和国の農耕民ボンガンド)、多人数で対面して座っているにもかかわらず、数分間もの長きにわたって沈黙したり、かと思うと激しく発話を重複させたりする人々(カメルーンの狩猟採集民バカ・ピグミー)、といった具合です。

この講義では、このような、われわれにとって奇妙に思える発話の形態をみることによって、コミュニケーションのやり方がさまざまな可能性を持っていることを示したいと思います。

世界各地で、耳の聞こえない人たち(ろう者)が手話を話しています。

手話とは、音声言語とは異なる文法をもった独自の言語で、ろう者たちの間で世代を超えて受け継がれてきた文化でもあります。世界では、130種類を超える多くの種類の手話が話されていると言われています。

アフリカでも、歴史の中でさまざまな手話が生まれ、各地で使われています。中には国の公用語になった手話もあれば、ある村の中だけで通じる手話もあります。キリスト教文化とともにアフリカ大陸中に広まった手話もあれば、イスラム教徒たちの間で伝えられている手話もあります。異文化として手話に出会うと、音声のことばとは違ったもうひとつのアフリカのことばの世界が見えてきます。

今回の講座では、カメルーンやコートジボワールでの調査に基づいて、アフリカの手話の世界をかいま見てみます。耳が聞こえない人たちが育んできた、形のない文化遺産との新たな出会いとなることでしょう。

【講師プロフィール】

木村大治(きむら だいじ) 
京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科准教授 1960年 愛媛県生まれ。京都大学大学院理学研究科博士課程修了。福井大学教育学部助教授、京都大学大学院人間・環境学研究科助教授、京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科助教授を経て、2007年より現職。 アフリカ熱帯雨林の農耕民、狩猟採集民の日常的コミュニケーションを研究している。 主な著作は『共在感覚 -アフリカの二つの社会における言語的相互行為から』京都大学学術出版会、2003年、『インタラクションの境界と接続-サル・人・会話研究から』(共著) 昭和堂,2010年、『コミュニケーションの自然誌』(共著) 新曜社、1997年 など。

 

【講師プロフィール】

亀井伸孝(かめい のぶたか)
大阪国際大学人間科学部准教授 1971年、神奈川県生まれ。 京都大学大学院理学研究科博士課程修了、理学博士。 関西学院大学COE特任准教授、東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所研究員を経て、2010年より現職。 おもに西・中部アフリカ各地で、ろう者たちが話す手話の研究などを行っている。 著作に、『アフリカのろう者と手話の歴史:A・J・フォスターの「王国」を訪ねて』(明石書店、2006年、2007年度国際開発学会奨励賞受賞)、 『手話の世界を訪ねよう』(岩波ジュニア新書、2009年)、 『森の小さな〈ハンター〉たち:狩猟採集民の子どもの民族誌』(京都大学学術出版会、2010年)など。