3)調査地

マダガスカルの国獣であるワオキツネザルは昼行性の中型のキツネザルで、5−30頭ほどの群れをつくって生活している。ワオキツネザルの分布域は南部一帯の乾燥した地域である。

調査地のベレンティ保護区(写真2)は、東南端のタオナラロから西へ約85キロメートル離れた所にある。1989年から1998年までの10年間のベレンティ保護区における年平均降雨量は580.6ミリメートルであり、年によって降雨量には大きな差がある。月別の降雨量(図2)をみると、その約70%が11月から2月までの間に降っている。

ベレンティ保護区のあるマンドラレー川の右岸一帯は、サイザル(Agave rigida)のプランテーションが広がり、葉の繊維から麻をつくっている。この一角に250ヘクタールほどの広さの森が残されているが、ここに昼行性の3種(ワオキツネザル、ヴェローシファカ、チャイロキツネザル)、夜行性の3種(シロアシイタチキツネザル(写真3)、フトオコビトキツネザル、ハイイロネズミキツネザル)計6種が生息している。

(写真2):上空から見たベレンティ保護区。

(図2):1989−1998年の平均月別降雨量

(写真3):夜行性のシロアシイタチキツネザル。