2)キツネザル類

この島に生息する霊長類(霊長目)は、旧世界や新世界に広く分布する真猿類(真猿亜目)と異なり、 原始的なサルという意味で原猿類(原猿亜目)と呼ばれている。原猿類はアフリカやアジアの旧世界の熱 帯、亜熱帯域にも生息するが、これらは全て小型で、夜行性の生き物である。マダガスカルの原猿類はキツ ネザル類とも呼ばれるが、そのなかには昼間活動する中型の種もいる。マダガスカルを除く旧世界では真猿 類が昼間の世界を占めてしまい、原猿類は夜の世界にとどまるかたちで生きながらえてきているといえよ う。

現在この島には5科14属に属する40種のキツネザル類が生息している。そしてそのすべてがこの島 にしかいない固有種である。このほかにすでに絶滅した18種を加えると、人間が渡来する以前の今から2000年前頃までは、少なくとも58種のキツネザル類が生息していたのである(写真1)。

(写真1):絶滅種のメガラダピス・エドワルドシ(Megaladapis edwardsi)。