第80回 里山の自然の観察@朽木

 趣旨

今回は滋賀県高島市の朽木いきものふれあいの里で、鳥類やその他の生き物の観察を行いました。朽木いきものふれあいの里周辺は、昔は炭や薪を生産する里山として地域の人々の生活を支えてきました。現在ではコナラ・ミズナラなど落葉広葉樹が多く生育していました。

 案内者

  • 前畑 晃也(京都大学アジアアフリカ地域研究研究科D1)

 野外実習の概要

日時
2013年5月12日(日)
場所
滋賀県高島市朽木(朽木いきものふれあいの里)

参加者
16名 (学部生3 [文1;奈良大学 -文1;大阪大学 -文1]、 院生12[AA研7;文1;工1;農1;地環2 ; 奈良大学-文1]、 教職員1 [AA研1]、 )
行程

大学を出発→朽木朝市見学→朽木いきものふれあいの里着.鳥観察の説明・練習→朽木いきものふれあいの里で散策→昼食→散策再開→終了→打ち上げ(水野邸でBBQ)

 報告

今回実習では滋賀県の朽木で自然観察を行いました。自然地理研究会では例年5月に朽木いきものふれあいの里にて植生調査演習を行っていますが、今年は次年度からふれあいの里が閉鎖されてしまうこともあり、植生調査の代わりに鳥を始めとする動植物の観察を行いました。

朽木いきものふれあいの里に到着。

まずは双眼鏡の使い方を教わります。遠くにいる鳥などを観察するために双眼鏡を覗き込むと、今まで見ていた場所がわからなくなり観察対象物を見失ってしまうことがよくあります。これを防ぐためには、双眼鏡を覗き込む前に見たい方向に顔を向け、そのまま視線を固定しながら双眼鏡を目の前に持っていくと良いそうです。

山の中へ入っていきます。この時期、朽木ではオオルリが観察できるようで、歩いているとさえずりが聞こえてきました。オオルリの雄は青色の美しい鳥であり、皆で姿を探しますが、なかなか見つけることができません。

途中で炭焼き窯の跡を見つけました。(石が積み上げられているものが炭焼き窯です。)朽木では戦後まで炭焼きが盛んに行われていました。現在は炭焼きはほとんど行われていないものの、このような炭焼き窯の跡を山中で見ることができます。

途中で「ギンリョウソウ」と呼ばれる変わった植物を見つけました。ギンリョウソウは植物にもかかわらず葉緑体を持っていないため、全体が真っ白に見えます。葉緑体が無いために光合成を行うことができず、菌類と共生することで養分を確保しています。

シカによるものと思われる樹木の食害跡を見つけました。朽木では近年シカの個体数の増加による下層植生の食害や、農業被害などが問題となっています。

木の側面に泥が付いています。これはシカが泥浴びをしたあとに体を擦りつけたものであると考えられます。今回は直接シカなどの大型の動物を見ることはできませんでしたが、この他にもイノシシが餌を探した跡など、動物が活動した痕跡を多く見ることができました。



カツラ谷と呼ばれる谷で昼食。今回はこのカツラ谷から元来た道へ引き返していきます。

桂谷の風景です。

桂谷にて恒例の集合写真を撮影しました。

桂谷からの帰り道で、ついにオオルリを見つけました。写真の中央部にオオルリが写っています。

先ほどの写真を拡大したもの。光の加減で少々わかりづらいですが、オオルリの特徴である青色の頭部と尾羽を観察することができます。声は聞こえるものの、姿をなかなか見つけることができませんでしたが、なんとか実習中にオオルリを観察することができました。

今回参加された皆様、お疲れ様でした。

京都大学自然地理研究会

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