第73回 植生調査法@朽木#2
趣旨
今回の研究会では、滋賀県北部の朽木谷において、植物(特に樹木)の観察・同定方法と、植生調査法の実習を行いました。
座学で植生調査の意義や方法論を学び、現地で実際に練習を行いました。
具体的には樹木の種名の調べ方、記載の仕方、地形などの環境条件と植物の対応関係の調査法を勉強しました。
また、動物の食痕の観察も行いました。
案内者
- 原宏輔(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科)
- 前畑晃也(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科)
- 藤田知弘(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科)
- 中三川洸太(立命館大学文学部)
座学の概要
- 日時
2012年5月10日(木)
- 場所
- 参加者
- 内容
- 植生調査の方法(トランセクト法とコドラート法、簡易測量等についての簡単な説明)と樹木の同定方法について
野外実習の概要
- 日時
2012年5月13日(日)
- 場所
- 参加者
- 内容
- 図鑑を使った植物(樹木)の同定の実習
- トランセクトを用いた植生調査(地形などの環境条件との対応を検討)
- 動物による食痕の観察
- 調査結果のまとめ
- 行程
大学を出発→朽木朝市見学→「朽木いきものふれあいの里」着
→植生調査開始→昼食→植生調査の続き→調査終了。
その後、調査結果をまとめる→「朽木いきものふれあいの里」を出発
→京都着(途中、くつき温泉てんくうにて入浴)→打ち上げ(水野邸@岩倉)
報告
「第73回 植生調査法@朽木」の続き
作業再開です。こちらの班が一番高いところで調査しています。この森はコナラやクリなどの落葉樹が卓越していますが、この辺りでは下層に赤い新芽を出した低木も多くみられます。これはアセビといって、強い毒を持ちます。朽木の山野では鹿による下草の食害が多く、鹿の食べないこのアセビが多く目につきます。
一通り周囲の樹木を測り終わったら、次に下層植生を調べます。ラインの一番下から周囲2m×2mの枠(コドラード)を作り、その中に生えている植物と植被率を調べます。植被率は自分の手のひらの大きさを基準にして、枠の中を植被がどれだけ覆っているかで決めていきます。コドラードごとに動物が植物を食べた痕の有無や、土壌水分も計測しました。
調査の場で図鑑を見ても名前が解らなかった植物は、葉や枝を採取して、このように後で再び図鑑を見ながら同定を行います。植物図鑑の序盤のページに書かれている、葉の付き方、形、鋸歯(葉のまわりのギザギザ)の有無などの情報を順に追って、示されたページを開くと、その植物の種類を特定することができます。
最後に図表の作成です。水平距離(ラインで進んだ距離)をX、測った高低差をYとして地形測量の結果を点で示し、その点を結ぶと地形断面図が出来上がります。さらに水平距離ごとに現れた樹木を図上に書き表すと、地形と植生の対応関係を見ることが出来るのです。
調査結果の発表会の様子です。図表をもとに、自分たちが調べた場所の植生の特徴を考察して話してもらっています。今回は植生と土壌水分との対応関係は見られませんでしたが、測った場所により少しずつ植生の違いが見られたようです。
調査が終わった後は温泉に寄り、その後バーベキューで打ち上げを行いました。
参加者のテンションもハイになったようです。盛り上がりました。
記念撮影はいつものように『くつき温泉てんくう』の前で行いました。皆さん最後までお疲れ様でした。
京都大学自然地理研究会
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