第69回 綾部市古屋集落におけるトチノキの生育環境とその利用

 趣旨

京都府綾部市睦寄町古屋には,トチノキの巨木が多数生育しています。過疎化が進む古屋集落では地域活性化政策が取り組まれており,近年では栃の実を使った商品を地域ブランドとして売り出す取り組みも行われはじめました。今回の野外実習では,古屋におけるトチノキの巨木林を見学し,古屋自治会長の渡辺様のお話を伺いながら,トチノキと住民の生活との関わりを考察しました。

 案内者

  • 渡辺和重(古屋自治会長)
  • 中三川洸太(立命館大学文学部)
  • 田中孝明(京都大学工学部)

 座学の概要

日時
2011年11月24日(木)
場所
京都大学稲盛財団記念館
参加者
8名 (学部生3 [医1;工1;立命館大学-文1]、 院生2 [AA研1;地環1]、 教職員3[AA研3])
内容
  • 実習当日の概要と持ち物について
  • 古屋集落の現状

 野外実習の概要

日時
2011年11月27日(日)
場所
京都府綾部市古屋
参加者
6名 (学部生3 [文1;工1;立命館大学-文1]、 院生1 [地環1]、 教職員2[AA研2])

 報告

京都府綾部市の北部に位置する古屋集落は、江戸時代には都と舞鶴を結ぶ京街道の裏街道の通過点であり、最盛期には約70世帯が存在しました。しかし、現在の人口は6人で、そのうち5人の年齢が85歳以上であり、限界集落となっています。

この古屋の森には巨木を含め多くのトチノキが生育しており、集落の人たちはトチノキを上手く利用して生活してきました。近年では、トチノキの保全と集落の活性化を目的としたボランティア活動も盛んです。

今回の実習では、古屋のトチノキ林を見学し、トチノキの生育環境を考察するとともに、古屋の人々とトチノキとの関わりを考えました。

車を止めて古屋の公民館へと向かいます。今年は紅葉の時期が遅れたため、色づいた木々を見ながら実習を行うことができました。横に流れているのは古屋川です。由良川やその支流の上林川の上流に当たります。

古屋の公民館に到着しました。古屋のマスコットキャラクター、「とち丸」が出迎えてくれます。

公民館で今回の実習の案内人の渡邊さん、住民の方々と面会しました。集落の方々は古屋の特産品の栃あられ・栃おかきの製作中でした。皆さんから古屋の歴史や、栃の実の利用法などを伺いました。

アツアツの栃餅をいただきました。この栃餅はおかきに加工するためのもので、普通の栃餅よりもほんのりとした甘さがあります。住民の方の手作りです。栃餅をほおばるメンバーから次々と「おいしい!」との声が上がりました。

こちらは製作中の栃あられと、栃おかきです。先ほどの栃餅を乾燥させ、油で揚げて作ります。原料となる栃の実も全て古屋の山で採ってきたものです。元々は住民の方が実を採りに行っていましたが、最近ではボランティアを募って栃の実拾いを行っています。

渡邊さんの案内で谷の入り口へと向かいます。古屋ではトチノキが生えるのは全て北向きの谷で、南向きの谷には生えないそうです。

山に入るメンバーの様子です。古屋の山裾にはスギ林が広がりますが、これは昭和30年頃から植えられたものです。道の右手のスギ林が一段高い所にありますが、これは植林前の棚田の名残です。

第69回 綾部市古屋集落におけるトチノキの生育環境とその利用#2」へ続く

京都大学自然地理研究会

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