第68回 朽木での調査活動に関する中間報告会

 趣旨

 自然地理研究会10周年にあたる節目の今年度は、滋賀県高島市朽木をフィールドに継続的な調査活動を実施しています。近年,地域のシンボル的な樹木としてトチノキの価値が見直され、それを活かす動きが現れています。一方で、トチノキの巨木が存在する地域では、トチノキと住民との深い関わりが歴史的に持続してきた側面も示唆されます。

 今年度の調査活動では、トチノキ巨木林を有する朽木を対象としてトチノキの生態的、文化的な価値に焦点をあて、人とトチノキの関係性を動かす諸事象を探っていきます。

  [本調査活動の一部は財団法人国際花と緑の博覧会記念協会の助成を受けています]

 今回の自然地理研究会では7月-9月にかけて実施した聞き取り調査結果に基づき,トチノキが残されてきた背景やトチノキと地域との関係性の変化に着目して中間報告を行い,理解を共有するとともに後半の調査活動に生かすための議論を行いました。

 概要

日時
2011年11月9日(水)
場所
京都大学稲盛財団記念館
参加者
13名 (学部生4 [文1;医1;工 1;立命館大学-文1]、 院生5 [人環1;AA研3;地環1]、 教職員4[AA研4])

 発表者および内容

 本年7月-9月にかけて,トチノキ巨木林が立地する朽木の集落において,主に栃餅づくりに携わっている60-80歳代の方々を対象に聞き取り調査を実施しました。その結果を以下3つの視点から取りまとめ報告し,参加者との質疑応答,意見交換が行われました。

 

  • 「集落におけるトチの実利用と近年の獣害」

   ―田中孝明 (京都大学工学部物理工学科,3回生)

    • 聞き取り対象者の幼少期や現在におけるトチの実拾いとその利用法,トチの実がシカの食害などにより拾えない現状などを報告しました。

 

  • 「朽木における木材の利用と巨樹の伐採から考えるトチノキ」

   ―中三川洸太(立命館大学文学部人文学科地理学専攻,3回生)

    • 木材利用の変遷と人びとの暮らしについての概観やトチノキをめぐる近年の動向を報告しました。

 

  • 「集落における栃餅の生産と販売」

   ―井出健人(京都大学文学部地理学専修,3回生)

    • 栃餅の集落での位置づけ,栃餅のつくり方,現在の特産品としての栃餅づくりの現状などについて報告しました。

 

朽木での調査活動も後半に入りました。

これまでの成果をまとめる役割を担ったみなさまお疲れさまでした!


(文責:飯田義彦)

京都大学自然地理研究会

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