第59回 大山の解体と鉄穴(かんな)流しの両者による弓ヶ浜の形成

 趣旨

中国地方の独立峰として知られている大山では火山の解体過程が進行しており、北壁や南壁をはじめ著しい土砂の流失が見られる。一方、日野川流域など中国地方でたたら製鉄の一環として行われていた鉄穴(かんな)流しにおいても、砂鉄採取のために大量のマサ土を河川に流していた。これらの土砂は美保湾に注ぎ、それぞれ長期的・短期的なタイムスパンにおいて、弓ヶ浜半島における砂浜海岸形成の土砂供給源となっている。

今回の研究会ではこの土砂移動を中心に取り上げ、座学では大山の解体・鉄穴(かんな)流し・弓ヶ浜の形成という3つの事象を解説し、野外実習ではそれぞれの実態を観察・体感する。

 案内者

  • 田村茂樹(京都大学修士(理学))
  • 飯田義彦(京都大学大学院地球環境学舎D1)

 座学・ミーティングの概要

第1回

日時

2010年9月8日(水)

場所
京都大学稲盛財団記念館
参加者
8名 (学部生2 [医1;工1]、 院生3 [農1;AA研1;地環1]、 教職員1 [AA研1]、 その他2)

 

第2回

日時

2010年9月18日(土)

場所
京都大学稲盛財団記念館
参加者
5名 (学部生1 [工1]、 院生3 [農1;AA研1;地環1]、 教職員1 [AA研1])

 

 野外実習の概要

日時

2010年9月20日(月祝)−22(水)

場所
鳥取県 大山
参加者
6名 (学部生1 [工1]、 院生3 [農1;AA研1;地環1]、 教職員1 [AA研1]、 その他1)
行程
9/20(月)

なんば〔集合〕→大山パーキング→大山寺地区〔入山〕→元谷小屋→砂すべり→元谷小屋〔泊〕

 

9/21(火)

元谷小屋→弥山山頂→夏山登山口〔下山〕→大山寺地区→宿泊施設〔泊〕

 

9/22(水)

宿泊施設→大山西麓→二部→弓ヶ浜半島→皆生温泉→米子駅前〔解散〕

 報告

今回は鳥取県西部の大山から弓ヶ浜半島に至る地域を訪れ、大山からの土砂流出の様子、かつて行われていたたたら製鉄の痕跡、そして長年の堆積を経て今では逆に海岸線が後退している弓ヶ浜半島を観察しました。

 

1日目:この日は大山寺地区から入山して元谷へ向かい、解体著しい大山の様子を観察します。

 

早朝になんばOCATに集合し、高速バスで大山パーキングまで向かいます。そこから、登山口の大山寺地区までタクシーで移動します。

大山寺の参道です。この長大な坂道を登ります。

大山寺の奥にある大神山神社です。大山は霊山として、古くから人々の信仰を集めてきました。

大神山神社の裏から登山道に入ります。この辺りにはブナを中心とする二次林が広がっています。

本日の目的地、元谷大堰堤に到着です。ここは複数の谷が合流する広大な河原で、どの谷にも多数の堰堤が設置されています。晴れていれば、大山の北壁が一望できるはずでしたが・・・

解体著しい大山では、土砂災害防止のための堰堤が多数見られます。堰堤には、下流への土砂の流出を抑えるはたらきや、土砂を溜めて勾配を小さくすることで浸食を抑えるはたらきがあります。

 

元谷小屋到着後、砂すべりを観察に向かいます。砂すべりとはある登山道の呼び名で、斜面の浸食によって生じた大量の砂が谷の中に集まっている所です。一歩踏み出すごとに砂で足元がすべることから、その名がついたものと思われます。

写真中央で縦に走っている灰色の筋が砂すべりです。

記念撮影の後は元谷小屋へ戻り、初日の行程を終えました。

 

第59回 大山の解体と鉄穴(かんな)流しの両者による弓ヶ浜の形成」へ続く

京都大学自然地理研究会

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