第41回 白馬岳で高山の自然環境を総合的に理解する

 趣旨

今回は、高山の自然環境の観察を行います。場所は長野県北部、富山県との県境に位置する白馬岳(標高2932m)です。白馬岳は、日本の高山地形・高山植物研究が最も盛んに行われてきた山であり、日本の高山を知る上ではまたとないフィールドです。また、この時期は梅雨も明ける頃で、お花畑が一番きれいに見られる時期なので、高山の美しさ(とその科学的背景)を存分に味わっていただけると思います。

 案内者

  • 水野一晴(アジア・アフリカ地域研究研究科)【高山植物】
  • 中村真介(農学研究科)【森林の垂直分布】
  • 田村茂樹(理学研究科)【地質・地形】
  • 手代木功基(アジア・アフリカ地域研究研究科)【高山植生・総合案内】

 座学・ミーティングの概要

第1回

日時

2008年7月18日(金) 18:30−

場所
京都大学総合研究2号館(旧工学部4号館)4F南東角のゼミ室(452号室)
参加者
13名 (学部生2 [文1;農1]、 院生10 [理1;農1;AA研8]、 教官1 [AA研1])
内容

  • 高山の自然環境についての概説
  • 当日のミーティング

 

第2回

日時

2008年7月23日(水) 18:30−

場所
京都大学総合研究2号館(旧工学部4号館)4F南東角のゼミ室(452号室)
参加者
16名 (学部生2 [文1;農1]、 院生13 [教1;理2;農1;AA研9]、 教官1 [AA研1])
内容

  • 最終確認
  • 食料の買出し・下準備など

 野外実習の概要

日時

2008年7月24日(木)−27日(日)

場所
白馬岳
参加者
16名 (学部生2 [文1;農1]、 院生13 [教1;理2;農1;AA研9]、 教官1 [AA研1])
行程
7/24(木)

21:45 京都駅八条口観光バス駐車場 集合

22:30 出発 <夜行高速バス「さわやか信州号」、車中泊>

 

7/25(金)

06:30 白馬駅前 到着

07:15 白馬駅前 出発 <松本電鉄バス 猿倉行き>

07:42 猿倉 到着

猿倉→白馬鑓温泉(コースタイム4:30)、テント泊、温泉(日本2位の標高にある!)に入浴

 

7/26(土)

白馬鑓温泉→鑓ヶ岳→杓子岳→白馬岳(コースタイム5:30)、テント泊

 

7/27(日)

白馬岳→小蓮華山→白馬大池→蓮華温泉(コースタイム5:15)

蓮華温泉にて解散

 報告

京都駅前に集合です。とにかく今年の夏は暑い。

猿倉から登ります。ちょっと一休み。

ニッコウキスゲ。湿った斜面に現れます。コバイケソウの葉も見られます。

泥炭の湿地に見られたイワイチョウ。雪田植生の代表的な植物です。

開花したばかりのミズバショウ。

山が険しくなってきました。

雪解け水が滝を作っています。

雪渓を歩く我々。

途中で、脚の骨を折った登山者をヘリコプターが救助しているのに出くわしました。

白馬鑓温泉で最初の1泊目。テントに泊まります。日本第2の高所にある温泉に入った後のビールは最高でした。写真正面が露天風呂。

風衝地である砂礫地の植生、ウルップソウとミヤマダイコンソウです。

2日目は霧が立ちこめ、風が非常に強く、とにかく寒かったです。ハイマツの斜面を登ります。

風衝地植生のお花畑

お花畑の代表格、シナノキンバイです。

2日目は夕方になって晴れてきました。前方には鉢ケ岳が見えます。

夕暮れと剣岳遠望。

白馬岳の山頂と手前にあるキャンプサイト。ここで2日目の夜を過ごしました。

風衝地の岩礫地に生育するコマクサとイワツメクサです。

構造土の一種、階状土。砂礫の裸地と植生が階段状になっています。

二重山稜です。尾根が二本、平行に走っています。

岩礫地に生えている、高山植物の女王、コマクサ。地表が移動するような斜面にも生育できます。

構造土の一種、条線土。構造土とは、自然にできた地表の幾何学的模様のことをいいます。大きな礫を線状に並べたように見えます。

このような構造土は、地表の移動が激しい場所に成立します。

尾根を隊列を組んで登る我々。

やや疲れ気味。

白馬大池が見えてきました。

写真左側が風上側の風衝地斜面、右側が風下側の風背側斜面です。風衝地は冬に雪が風で吹き飛ばされ、地表が露出するため、地面が凍結融解し、地表の移動が激しいです。このような斜面は植物が生育しにくく裸地になります。一方、風背側斜面は稜線付近は風で雪が少ないので嫌雪性のハイマツに覆われ、斜面下部は風上側から飛ばされてきた雪が積もって、雪が多いため、ダケカンバなどの好雪性の樹木やオオシラビソなどの針葉樹の稚樹に覆われます。

イワイチョウの群落

白馬大池で記念撮影です。

蓮華温泉まで下ります。蓮華温泉で3日間の汗を流しました。おつかれさま。

京都大学自然地理研究会

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