第28回 遺跡にみる自然環境の変遷と人間活動の対応関係の検討

 趣旨

「遺跡にみる自然環境の変遷と人間活動の対応関係の検討」に関する野外実習

 講師

  • 宮本真二(琵琶湖博物館)
  • 森山宗保(守山市教育委員会)
  • 小野映介(名古屋大学・院)
  • 川畑和弘(守山市教育委員会)

 概要

日時

2005年5月15日(日) 午前10時−午後5時

場所
滋賀県守山:浮気南(ふけみなみ)遺跡、下之郷(しものごう)遺跡
参加者
26名 (学部生6 [文1;理2;農2;他大学1]、 院生15 [医1;AA研12;他大学2]、 教官2、 他機関研究員2、 社会人1)

 報告

今回は、はじめて、考古学的実習を行いました。考古学の遺跡現場を素材として、考古学の発掘手法、遺物や遺構の解釈方法、遺跡立地を検討するための技法、微地形変化や古環境変遷などを学びました。

JR東海道本線守山駅近くにある浮気南遺跡です。古墳時代前期を中心とした住居跡が見られます。実際に地面 を削って、土器破片の採集作業を行いました(もちろん、採集した土器の破片は、持ち帰ることはできません)。何か、宝物探しのような感覚で楽しいです。白いラインの内側に遺構が検出されています。地表面 を削って、土色、土質の違いから、遺構の範囲を特定します。白いラインは、その土色、土質の違いから判定された遺構の範囲を示します。

土器の破片を地面の上に左から右に、古い時代から新しい順に並べました。土器の質や厚さ、色の違いなどから作成時代の判別 方法を教えてもらいました。

遺跡発掘の際には、その場所の環境変遷を知るために、地面を掘って、土壌断面を調査します。

土壌断面から環境変遷を判別する方法を学びました。

土壌断面の下の方の層は、砂の層です。その砂層の中に丸い礫が含まれています。この砂層が堆積した弥生時代は、河川活動が活発であったことがわかります。その上は、シルトー粘土層で、この古墳時代には、この場所があまり河川活動が活発でなかったことがわかります。

下之郷遺跡です。弥生時代の環濠遺跡として有名で、国指定遺跡になっています。集落が三重の濠で囲まれていました。写 真の向こう側が一番内側の濠で、手前が二番目の濠です。一番外側の濠は写真に写っていません。環濠に取り囲まれた村は、約22haもあります。ここでは、石器、土器、木器が出土し、この一帯が今から約2100年前の弥生時代の村の跡であることがわかりました。当時の動植物や弥生人が使っていた様々な道具や生活跡が、そのまま残っています。環濠は、防御的役割のほか、生活用排水としても利用されたようです。「戦い」を行っていたことが推測される遺物が多く検出されています。

環濠の中の説明を受けます。

第28回 遺跡にみる自然環境の変遷と人間活動の対応関係の検討#2」へ続く

京都大学自然地理研究会

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