第103回 「桂川の地形の観察と巨椋池の歴史」

 趣旨

今回の巡検は、桂川の地形の観察と巨椋池の歴史と題し、桂川河川敷、巨椋池周辺を巡ります。桂川河川敷では河床礫の分析の方法を学び、巨椋池周辺では干拓農地と太閤堤を見学し干拓の歴史を学びます。

 案内者

神品芳孝(京都大学大学院文学研究科地理学専修修士課程)

重永瞬(京都大学文学部地理学専修)

 野外実習の概要

日時
2017年7月2日(日)
場所
京都府京都市、京都府八幡市
参加者
8名(学部生4[文4、理1]、院生2 [文2]、教職員1[文1])
行程
桂川河川敷(上流)→巨椋池(干拓農地・太閤堤)→桂川河川敷(下流)→石清水八幡宮→打ち上げ(極楽湯枚方店)

 報告

今回の巡検では、桂川の河川敷での河床礫観察と、巨椋池での干拓跡の観察を行い、京都南郊の水環境について学びました。

阪急嵐山駅から巡検スタート。

まずは阪急松尾大社駅近くの河川敷で河床礫の調査をしました。

1平方メートルのコドラートのなかから大きい順に10個の礫を選び、これらの礫の長径・中径・短径を測り、さらに礫見本を参考に円形度を求めました。なお、ここでの平均値は長径153.9cm、中径は100.5cm、57.4cm、円形度は0.4でした。

その後、せっかくなので松尾大社にお参りをしました。

巨椋池に移動しました。

近鉄向島駅から見た巨椋池干拓地です。巨椋池はかつて京都盆地の南に存在した、面積約800haに及ぶ巨大な池でしたが、昭和16年に干拓されました。自然地理研究会でも一度訪れたことがあります。

番外編 2008年度送別会http://jambo.africa.kyoto-u.ac.jp/cgi-bin/spg/wiki.cgi?page=%C8%D6%B3%B0%CA%D4%A1%A12008%C7%AF%C5%D9%C1%F7%CA%CC%B2%F1

巨椋池跡にて案内人による解説を聞いたのち、向島駅を挟んで反対側にある向島ニュータウンに移動しました。

向島ニュータウンは昭和47年に造成が開始されたニュータウンで、こちらも巨椋池の跡地にあります。写真はニュータウン内の公園です。

巨椋池では明治39年に宇治川の付け替え工事が行われ、それによって水質が悪化してしまいました。この水質の悪化が、巨椋池が干拓されることになった一つの理由だそうです。干拓前夜の巨椋池はこの写真のように濁っていたのでしょうか。

向島ニュータウンはいくつかの街区に分かれており、そのうち西の街区は住宅公団によって、東の街区は京都市によって管理されています。管理主体によって微妙にマンションの形態が違うのが興味深く感じました。写真は公団が管理する棟です。

こちらは京都市が管理する棟です。公団管理の棟と異なりベランダにパラボラアンテナが設置されています。

向島ニュータウンはかつて豊臣秀吉が築いた向島城の二の丸跡周辺にあります。ニュータウン内には「二ノ丸」のバス停がありました。

向島ニュータウンから向島城跡へ向かいます。向島城跡一帯は住宅地になっており城跡の遺跡などは残されておりませんが、城があった部分は周囲よりもやや高くなっているなど、地形にわずかな面影が残っていました。

そのあとは小倉堤跡を歩きました。小倉堤は秀吉が巨椋池を分断するように造成した堤で、堤の上には京都と奈良をより短い距離で結ぶ「新大和街道」が通っていました。

こちらの堤も、周囲より少し高くなっています。

小倉堤の端には観月橋が架かっています。こちらの橋も秀吉が架けた「豊後橋」に起源があり、現在も宇治川を渡る主要な橋となっています。

その後、観月橋駅から淀駅へと向かいました。

淀駅は競馬場に隣接していることで有名です。駅構内には競馬場への臨時出口がありました。

駅の近くには千本通りが走っています。千本通りはかつて平安京の中心路だった朱雀大路にあたり、京都中心市街から南下したのち、ここ淀で終点を迎えます。

淀にて桂川の河川敷に降り、再び河床礫の調査をしました。

なお、ここでの平均値は長径が81.6cm、中径が48.2cm、短径が35.2cm、円形度は0.5となっており、写真でもわかるように上流で観察した礫よりも礫径が小さく、また丸くなっていることがよく分かりました。

最後に、淀からさらに下流の八幡市へ移動しました。八幡市は石清水八幡宮があることで知られます。

京阪の駅を降りたのち、男山ケーブルに乗って神社のある山頂へと向かいました。

神社の参道は山道にも関わらずかなりの人が通っていました。

こちらが本社です。二階に楼を備えた立派な建築で、昨年国宝に指定されました。

その後、裏道から山を下りました、巡検前日の悪天候で、多くの木が倒されていました。

男山から下山した後は、山の西側を通る東高野街道を歩きました。古い道ということで沿道の民家にも大きな屋敷が多く見られました。その後、タクシーに乗って枚方市の「極楽湯」へ移動し、一日の疲れを癒しました。移動距離の長い巡検でしたが、それだけに河川敷の違いや巨椋池のスケールの大きさも感じることができました。参加者の皆さま、お疲れさまでした。

京都大学自然地理研究会

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