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森の人と魚たち

バクエレの女の子、ベエニェが雨期の雨で氾濫したバカ川の川べりで捕まえた小魚を見せてくれました。水浴び場で捕まえた、ちょっぴりの量の魚ですが、これも立派なオカズになります。2002年12月4日、ドンゴ村バカ集落にて。(写真撮影:大石)

丸木舟のなかのボカ。ギギ科の大型魚で、日本のギギ科の魚と同じく、空気中に揚げるとギーギーと鳴きます。そして野太く、“ボフボフ”と咳き込むような音も立てます。口の形がガバッと広がっているのとこのときの音のせいで、美味しい魚なのに、ゴッス(gOk-su)=「豚魚」という有り難くないあだ名もあります。「ボカみたいな」と言われるのは、男にとっても、女にとっても屈辱的なことです(Auchenoglanis occidentalis; BAGRIDAE)。2002年2月16日、ジャー川の上で。(写真撮影:大石)

シーザー氏の息子と大型のヒレナマズ。バクエレの言葉でディム(ndim)と呼ばれます。成長段階にともない3つの名前をもつ出世魚で、最長150cmを超えることもある魚です(Heterobranchus longifilis; CLARIIDAE) 。アブラビレと内臓に、黄色い脂肪のかたまりがあって、これが好まれます。早朝にシーザー氏が仕掛け針に掛かっているのを銛を使って丸木舟に引き揚げ、キャンプまで運び上げました。2004年2月8日、ドンゴ村最上流の定住キャンプ、ンゴコ・サンガにて。(写真撮影:大石)

バカ・ピグミー、モビッサ氏と小型のヒレナマズ、ンゴロ(ngOlO)。沼地に出かけ、夜通しでンジェンジェ(バカ・ピグミーの言葉で釣りを指すが、このときは置き針漁が行われた)をした成果(Clarias sp.; CLARIIDAE)。2003年12月2日、沼地ジャンブアブタにて。(写真撮影:大石)

アラサン氏は、遠く西アフリカから移住してきたフルベで、ドンゴ村でカカオ栽培を中心に農業を営んでおられますが、魚とりにも熱心です。ンガル(ngalu)と呼ばれる、大きな釣り針を100本以上も付けた延縄漁は、彼が村に持ち込んだ技術です。彼の延縄には餌が付けられませんが、それでもこの写真のデンキナマズ(バクエレの言葉ではグーグ[gugu]、バカ・ピグミーの言葉ではビビ[nbinbi]と呼ばれる)をはじめ、ジャー川の本流の水底を通る魚が引っ掛かります。(Malapterurus electricus; MALAPTERURIDAE)。2003年12月、ドンゴ村バカ集落にて。(写真撮影:大石)

コガ(kOga)と呼ばれるこの魚は、背鰭がカミソリのようになっていて、下手にさわるとけがをします。分類学上は、一応サカナと言うことになっていますが、実はシーラカンスにかなり近しい、どちらかというと両生類にも近い生き物です(Polypterus ornatipinnis; POLYPTERIDAE)。2004年2月、マポマのフィッシング・キャンプにて。(写真撮影:大石)

バクエレの言葉では、エゲレディー(E-gEl-E-dii)、シンガ(singa)、リンガラ語ではモングス(mongsu)と呼ばれるこの魚(Parachanna obscura; CHANNIDAE)は、タイワンドジョウのなかまです。頭部の形や模様が、マムシ(バイパー)に似ているので、"水のマムシ"と言う名前がついています。女性やこどもが素手で魚を探る掻い出し漁では、この魚がにゅっとアタマを出すと、一瞬ヘビではないかと思ってしまうのです。まあ、人間がひやっとさせられるのは一瞬で、次の瞬間には、マチェット(山刀)で魚の頭が割られてしまうのですが。2004年2月7日ビヤドウブ川口付近のフィッシング・キャンプにて。(写真撮影:大石)

バクエレの言葉でセヤ(sEya)と呼ばれるコイ科の大型魚(Labeo lineatus.; CYPRINIDAE)。2004年2月19日、グヮビオン島にて。(写真撮影:大石)

バクエレの言葉でブオック(buOk)と呼ばれるコイ科の大型魚(Labeo sp.; CYPRINIDAE)。2004年3月21日、ドンゴ村ドンゴ集落にて。(写真撮影:大石)コイ科Labeo属の魚は、大きく成長し、また美味です。トランプや名刺ができそうなくらい大きなウロコにおおわれています。

バクエレの言葉で、カコール(kako:l)、と呼ばれるナギナタナマズ。直訳すると、「バナナの葉っぱ」という意味である。若い女性は食べることができない(Xenomystus nigri; NOTOPTERIDAE)。2004年2月、メソック島にて。(写真撮影:大石)

ナゼール氏が、バクエレの言葉でヤガヤガ(yagayaga),もしくはゼレンギイ(zElEngyi)と呼ばれるモルミュルス科の魚を釣り上げたところ(Mormyrus caballus; MORMYRIDAE)。2004年2月10日、ドンゴ村ドンゴ集落にて。(写真撮影:大石)

カメダと、彼により手釣りで釣り上げられたコト(koto)。この種類は、口が小さくて釣りで掛けるのは難しい。カメダは、バンガンドの少年だが、兄とともにジャー川の奥まで魚とりに来た(Campylomormyrus numenius; MORMYRIDAE)。2004年3月15日、メソックのフィッシング・キャンプにて。(写真撮影:大石)

次のHydrocynus(ALESTIDAE)よりも小型のタイガー・フィッシュ的な存在。網にかかった魚を食い荒らす。バクエレの言葉で、ジャーセル(ja:sEl)と呼ばれます(Hepsetus odoe; HEPSETIDAE)。2004年2月16日、ギーの滝付近にて。(写真撮影:大石)

バクエレの言葉でジラロン(djilalon)と呼ばれる、歯の鋭い魚(Hydrocynus vittatus; ALESTIDAE)。味は美味である。(写真撮影:大石)

バクエレの言葉で、コロコロ(kOlO-kOlO)と呼ばれるサカサナマズの仲間のひとつ(Synodontis angelicus; MOCHOKIDAE)。サカサナマズ科Synodontis属の魚は7種以上が捕獲され、食用にされます。美しい姿をしたものが多く、欧米や日本で「熱帯魚」として売られているものも少なくありません。2004年2月。(写真撮影:大石)

バクエレの言葉でエヤンガ(E-yanga)と呼ばれています。キタリヌス科の魚は、体高が高く、扁平なので網漁でよく捕れます(Citharinus gibbosus; CITHARINIDAE)。2004年3月16日。(写真撮影:大石)

これは、10数cmの小さく、堅い魚で食用にはされず、男性の「薬」として使われます。木の枝などで串刺しにし、たき火のそばでかちんかちんに乾燥させ、それを煎じて飲む。名前はずばり、ス・バーズ(su-ba:z)=鏃魚。(Phago boulengeri; CITHARINIDAE)。2004年2月、メンゴン島付近にて。(写真撮影:大石)

バクエレの言葉で、エヨンボ(EyOmbO)と呼ばれる魚。青い縦縞が印象的ですが、成魚になるにつれ薄れていきます。柔らかい白身の美味しい魚ですが、細かい骨が多いのが難点(Distichodus lusosso; CITHARINIDAE)。2004年2月15日、ギーの滝付近にて。(写真撮影:大石)

バクエレの言葉でピル(pilu)=喪服と呼ばれるこの魚は、真っ黒である(〈Ctenopoma〉ocellatus; ANABANTIDAE)。2004年3月13日、マポマのフィッシング・キャンプにて。(写真撮影:大石)

バクエレの言葉でナゴゾック(na-gozOk)と呼ばれるトゲウナギ科の魚(Mastacembelus sp.; Mastacembelidae)。尖って突き出ているのは上唇で、背中には小さな棘が並んでいる。形と色(生きているときは、黒地に黄色の縞模様が顕著)のせいか、ほとんど食べられずに捨てられる。3月15日、メソック島にて。(写真撮影:大石)

リンガラでジョンボ(jOmbO)と呼ばれるプロトプテルス科の魚(Protopterus annectens; Protopteridae)。魚のような魚でないような不思議な味である。脂身が多く、人気。2009年9月24日、コンゴ共和国ウエッソ市の市場にて。(写真撮影:大石)

注1:魚の方名の発音標記に、小文字のアルファベットのほかに大文字が混じっていますが([O]/[o]と[E]/[e])、[O]は口を大きく開けたはっきりした音を([o]は小さい口で発音)、[E]は口を横に大きく開けたはっきりした音を([e]は横に大きく開けないで発音)表します。

注2:魚の学名(scientific name)は、魚類系統分類学の進展にともない、国際生物命名規約上有効な名前が変わることがよくあります。このページの学名は、ページ作成時の情報によっています。最新の情報については、米国カリフォルニア科学アカデミーが提供するThe Catalog of fishes on lineWorldFish Centerが提供するSearch FishBaseなどで確認できます。

Last Updated on Dec.14, 2009.