その後,フィールドの幾人かに質問をして,エコックとはどうやら,大きな岩 らしいことがわかってきた。 ドンゴ村には,そこへ行ったことのある人間はいなかったが, 岩の存在そのものはよく知られていた。 あのような奇妙な形で地図に出ていることからも,ある種の「名所」らしいことが 推測された。 エコックは,自動車道路の終端からは遠く離れた森の中に位置している。 しかし,そこまで歩いていく細い道はある。 森棲みの人々はそういった道をたどり,何日もかけて遠くの村を訪問しているのだ。 彼らと同じようにして,森の中に点在する集落を訪ねてみたい, 私はかねてからそのような計画を持っていた。 この地域はいくつもの木材伐採会社が入っている。 よく整備された幹線道路には, 巨大な木材を積んだローリーが日に何十台も行き交っている。 人々の生活は当然,道路の大きな影響を受ける。 物資はどんどん入ってくる。 換金作物であるカカオを買い付けにトラックがやってくる。 伐採会社に売る野生動物の肉や干魚の需要が高まる。 {{img IMG_1311.jpg}} そういった生活の変化も面白いが,おそらくこの地域の人々が はるか昔から続けてきたであろう森棲みの生活は どのようなものなのか,それを見てみたいという気持ちがあったのだ。 またこの地域には,新たな国立公園を設定しようという動きがあり, 森に住む人たちがどの程度,動植物環境にインパクトを与えているのかは, 我々の調査の重要なテーマでもある。 2001年秋の調査の時,エコックの近くのマレア・アンシアン村で ピグミーの調査を続けている, 院生の服部志帆さんのもとを訪ねた。 (服部さんのマレアでの体験については, [こちらのホームページ|http://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/fwft/hattori/hattori.htm]を参照。) マレアまでは最近道路が延びて,車で行くことができるようになったのだ。 「この先の森の中に,おーおきな見晴らしのいい岩があるんですって」彼女は おっとりとした関西弁で言った。 「エコックやろ」私はすかさず答えた。 そこで 私の調査終了後,ヤウンデに出る間際に,私,服部さん,それに別の村に 調査に入っている院生の Yasuoka君,四方篝さんの4人でエコックを訪れてみよう,そういうことになった。 >> 次頁 巨岩? へ     ↑↑[[目次|Ekok行]] へ